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パパイヤ、と聞いてまず思い浮かぶのは、あの黄色くてネットリ甘い南国の果物。しかし熟する前のパパイヤは胡瓜にも似た味がする。この作品は1951年のベトナム・サイゴンが舞台。田舎から奉公にやって来た少女ムイの成長を通して、その屋敷に住む人々の生活を描いた作品だ。 ムイは「オカズが少ない時は塩を多めに入れる」「野菜を炒めたらいったん火から下ろして、肉を炒め終わってから合わせる」といった料理の実践の知恵を、同じ奉公人であるおばさんから教わる。料理の作り手の心をしっかり教わったムイは、成長した後に音楽家の青年の家に奉公に行くが、そこで作る料理も、実に細やかな心づかいに溢れている。ご飯は冷めないよう蓋をして、料理も素材感を大切にし、盛りつけも美しく工夫する。小さなお盆にのせ、大切そうに運ぶムイ自身も、健気であり、美しい。 |
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また、パリに留学していたという、新進作曲家である青年の家の室内は、壺や仏像など東洋的なものと、ピアノを中心とした西洋的なものとが融合していて、エスニック風のインテリアとしても興味深いシーンが多い。 では、肝心の青いパパイヤはというと、まず皮をむき、包丁で垂直に切れめを入れる。その後、削ぐように包丁を動かすと、線切りのような状態になる。ムイは簡単そうに作るけれど、実際にやってみたらむずかしいかもしれない。そして、タイならナンプラ−、ベトナムではニョクマムと呼ばれる魚で作る調味料をベ−スに、唐辛子、酢、砂糖、ライムやレモンの汁を混ぜたものをかける。決して御馳走ではなくベトナム人の家庭の味、というものだろう。 熟す前のパパイヤは、原産国ならではの味。そして、青いパパイヤが熟していく過程は、澄んだ瞳をもった少女ムイの成長の物語にもふさわしい。 |