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『ゴッド・ファーザー』のみならず、イタリアン・マフィアの映画といえば、鋭い目をしたファミリーの男たちが、キッチンに立って手早く料理をしたり、食材を調達したりするシーンがふんだんに登場する。この『グッド・フェローズ』は、マフィアの実話を題材にした作品だが、主人公の出世物語が、食べもののエピソードで構成されているといってもいいくらいだ。 この世界に憧れて、12才からマフィアの使い走りを始めたヘンリー。映画は彼の回想的ナレーションで進行する。何年かたつうちに、ヘンリーの地位も高くなり、一人前のマフィアとして活動するようになっていく。刑務所暮らしも何度か経験するのだが、彼らはそんな環境でも「クサイ飯」など食べないのだ。大物マフィアたちは金にものをいわせて食材やワインを調達し、こともあろうに刑務所内のキッチンで料理をしている。ニンニクはカミソリの刃で薄く薄くスライス。今日はステーキ、子牛と合挽き肉のミートボールだったから「明日はサンドイッチでダイエットしようぜ」といった具合だ。 |
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また、麻薬の密売を嗅ぎつけられて警察に追われるヘンリーは、空からヘリに監視されながらもディナーの準備だけは手を抜かない。「1日中ヘリとトマトソースの監視だ」とぼやきながらも、「ソースが焦げないように混ぜろ」と外からも電話。家族総動員で作っていたのは、トマトソースで煮たスジ肉、唐がらしで炒めたパスタ、いんげん豆のニンニク炒め、さらにオードブルには「うまいカツレツも用意」するという豪華なものだ。まさに、緊張感のただよう料理シーンである。 しかし、仲間どうしの抗争を経て、晩年のヘンリーは連邦証人保護制度の下で余生を送ることになる。あれほどこだわっていた料理にさえ、凝る余裕などない。ラストのヘンリーのナレーションが、全盛期の華やかさとのギャップを象徴している。「スパゲッティのマリナーラ・ソースはただのケチャップに代わった」。 |