警察に追われても料理には手を抜かないのが一流のマフィア

グッド・フェローズ

1990年 アメリカ
監督/マーチン・スコセッシ
出演/レイ・リオッタ ロバート・デ・ニーロ





 『ゴッド・ファーザー』のみならず、イタリアン・マフィアの映画といえば、鋭い目をしたファミリーの男たちが、キッチンに立って手早く料理をしたり、食材を調達したりするシーンがふんだんに登場する。この『グッド・フェローズ』は、マフィアの実話を題材にした作品だが、主人公の出世物語が、食べもののエピソードで構成されているといってもいいくらいだ。
 この世界に憧れて、12才からマフィアの使い走りを始めたヘンリー。映画は彼の回想的ナレーションで進行する。何年かたつうちに、ヘンリーの地位も高くなり、一人前のマフィアとして活動するようになっていく。刑務所暮らしも何度か経験するのだが、彼らはそんな環境でも「クサイ飯」など食べないのだ。大物マフィアたちは金にものをいわせて食材やワインを調達し、こともあろうに刑務所内のキッチンで料理をしている。ニンニクはカミソリの刃で薄く薄くスライス。今日はステーキ、子牛と合挽き肉のミートボールだったから「明日はサンドイッチでダイエットしようぜ」といった具合だ。

 また、麻薬の密売を嗅ぎつけられて警察に追われるヘンリーは、空からヘリに監視されながらもディナーの準備だけは手を抜かない。「1日中ヘリとトマトソースの監視だ」とぼやきながらも、「ソースが焦げないように混ぜろ」と外からも電話。家族総動員で作っていたのは、トマトソースで煮たスジ肉、唐がらしで炒めたパスタ、いんげん豆のニンニク炒め、さらにオードブルには「うまいカツレツも用意」するという豪華なものだ。まさに、緊張感のただよう料理シーンである。
 しかし、仲間どうしの抗争を経て、晩年のヘンリーは連邦証人保護制度の下で余生を送ることになる。あれほどこだわっていた料理にさえ、凝る余裕などない。ラストのヘンリーのナレーションが、全盛期の華やかさとのギャップを象徴している。「スパゲッティのマリナーラ・ソースはただのケチャップに代わった」。




MENU せっぱつまっても手作りミートボール
薄切り肉のカツレツ、ミートボールのトマトソース煮込み、いんげん豆のにんにく炒め、パスタ。空からはヘリで警察に監視されながらも、ヤクの裏取り引きの処理に奔走する主人公が、間をぬってお昼前から用意するディナーはこんなご馳走。いつパクられても思い残すことのないように、家族のために料理の腕をふるう。それはいかにも、イタリアン・マフィアの世界に身も心も捧げた‘グッドフェローズ’にふさわしいのです。

作り方

●ミートボールを焼き上げる
1. にんにくとエシャロットを、オリーブ油で香りを出すように弱火で炒め、にんにくがうっすらと色づいたら器に取って冷ます。
2. ボウルに合びき肉、塩、こしょうを入れてよく練る。1を加え、さらにパルメザンチーズ、イタリアンパセリ、タイム、パン粉を加えよく混ぜる。ピンポン玉程度の大きさに丸める。
3. 厚手の鍋にオリーブ油を熱し、十分熱くなったら、2をひとつずつ鍋に入れ、表面にしっかりと焼き色をつける。(中まで火が通らなくてよい)

●トマトソースを作り、ミートボールを煮込む
1. オリーブ油で玉ねぎとにんにくを弱火で炒める。にんにくがうっすらと色づいたら、種を取ってざく切りのトマトの水煮の果肉(残りのジュースはとっておく)、皮をむいて種を取ったざく切りの完熟トマトを加える。
2. さらに、トマトペースト、赤唐辛子、オレガノ、バジルを加える。
3. 2を約5分炒め、水煮缶のジュースとミートボールを加え、弱火で約30分煮込む。塩、こしょうで味を調える。
4. 3を好みの固さにゆでたパスタと皿に盛りつけ、イタリアンパセリを飾る。