誰もが持っている鮮烈な記憶のなかの食卓風景

フェリーニのアマルコルド

1974年 イタリア
監督/フェデリコ・フェリーニ
出演/プペラ・マッジョ マガリ・ノエル





 「私の映画はすべて私の人生のある季節のシルエットである」と語っているように、この作品が、フェデリコ・フェリーニ監督自身の体験だということは、あまりにも有名である。「アマルコルド」とは「私は覚えている」という意味だ。フェリーニの故郷である北部イタリア・リミニ地方の方言で、すでに死語となっているという。フェリーニにとって、生涯忘れられない1年間の出来事を追っているが、春を迎える祭り、小さな港町にやってくる豪華船、ムッソリーニのファシズム旋風、精神を病んだ叔父が引き起こす騒動など、少年フェリーニの一家にとって、激動のであったようである。
 少年の家族は両親に祖父、叔父夫婦、そして弟の7人なので、食卓はいつもにぎやかである。ある日の食事には、大きな寸胴鍋で作った熱いミネストローネがスープ皿に注がれていた。子どもたちは何かと叱られるし、大人たちもそれぞれに大きな声で自分の話をするものだから、あまりおだやかな食事風景には見えない。

 スープのあとのメインディッシュは、鶏肉を煮込んだ料理。いつもと少し違う味つけだったらしく、「ミントを入れた?」「ミントじゃなくてセージよ。でも、いつもと違うのがわかった?」などどいう会話が交わされる。ミントは、すっきりとさわやかな香りを楽しむハーブで、生の葉をデザートにあしらったり、ハーブティーで味わうほか、ラム肉のローストにはとても相性がいい。この日話題に登ったセージは、上品な甘い香りとほのかな渋みが特徴で、肉料理によく使われるものだ。
 春一番が吹く野原が美しいラストは、少年が憧れていた年上の女性のウエディング・パーティーのシーンだ。広々とした草原にテーブルを出し、真っ白のテーブルクロスに料理とワインが並ぶ。人々の祝福と幸福そうな花嫁の横顔。フェリーニの記憶の中に、これらの風景がはっきり刻まれていたことを、改めて感じる。




MENU 骨つき鶏肉の煮込みセージ風味
セージは、イタリアでは「サルヴィア」と呼ばれるシソ科のハーブ。その樟脳にも似た強い香りは、肉料理とよく合い、ソーセージをはじめ、ローストや煮込み料理によく使われます。『ゴッドファーザー』にもセージを使う料理、「鶏肉のカチャトラ(猟師風)」が、ゴッドファーザーの退院を祝う料理として登場しています。鶏肉は骨つきも取り混ぜて、ベーコンはブロックを買い求め、気長に柔らかく煮込んでください。

作り方

◆骨つき鶏肉の煮込みセージ風味
◇下準備
*ベーコンは1.5B幅の直方体に切り、水からゆで、沸騰したら水気を切る。

1. 鶏肉はよく水気をふいて、塩、こしょうする。小麦粉をまぶしつけ、余分の粉ははたいておく。
2. 厚手の鍋にオリーブ油を熱し、鶏肉に軽く焼き色をつけ、取り出す。(中まで火が通らなくてもよい)
3. 2. の鍋の脂分を取り除き、新たにオリーブ油を足し、にんにくと玉ねぎを加えて玉ねぎが透き通るまで炒める。
4. 焼いておいた鶏肉と白ワインを加えて沸騰させる。
5. ベーコン、マッシュルーム、水、セージ、ローリエを加え、ときどき表面のアクと脂分を取りながら、肉が柔らかくなるまで約40分弱火で煮る。
6. 仕上がりに生クリームを加え、塩、こしょうで味を調え火を止める。レモンの汁を加え混ぜる。
7. 皿に盛って、イタリアンパセリを飾る。