英国家庭に学ぶ階級別ティータイムの楽しみ方

ハワ−ズ・エンド

1992年 イギリス・日本
監督/ジェイムズ・アイヴォリィ
出演/アンソニー・ホプキンス エマ・トンプソン





 英国人は、昔も今もティータイムがお好き。朝の「アーリー・モーニング・ティー」に始まり、11時には「イレヴンジス」、午後の3時か4時には「アフタヌーン・ティー」、もう少し夕方になると「ハイ・ティー」。もちろん、ディナーのあとにも紅茶なので、何となく1日中お茶を飲んでいるようにも見える。家族だけではなく、親しい友人がいればお茶に招く。香りよくいれた紅茶をお替わりしながら、ビスケットやスコーン、サンドイッチなどの軽食をつまみ、おしゃべりを楽しむのだ。
 さて、ここに登場する「資産家」で「保守的」なウィルコックス家と、「インテリ」だが「進歩的」であるシュレーゲル家とは、過去にいざこざがあり、「お茶にいかが?」という間柄ではなかった。ところが、ウィルコックス夫人は、シュレーゲル姉妹の姉マーガレットと親しくなり、やがて「別荘ハワ−ズ・エンドはマ−ガレットに」という遺言を残す。当初は遺族によって無効とされてしまったこの遺言だが、運命が巡り巡って、最後にはその言葉通りになるというストーリーだ。

 映画のタイトルにもなっている「ハワーズエンド」は、ウィルコックス家が所有する田舎の別宅の呼び名である。うっそうと木が繁り、花が咲き乱れる庭。古いが趣のある家屋には、20世紀はじめの英国人の生活感がにじみ出ている。
 お茶を楽しむのは上流階級の人々ばかりではない。いわゆる堅実的な中産階級であるシュレーゲル家でも、さらに貧しいバスト夫妻の家でも、それぞれのティータイムがある。上流家庭では、高価なティーセットにメイドが作る焼き菓子が定番だが、料理上手のメイドがいるシュレーゲル家のお菓子は注目に値する。器にたっぷりと積み上げたスコーンも、ご自慢の一品であろう。また、男性にもお茶好き、お菓子好きが多かったらしく、姉妹の弟ティビーが、りんごのシャルロットをわざわざ注文して食べているシーンもある。
 念のため、この作品に登場する「英国人の食卓」は、ティ−タイムばかりではない。ロ−ストビ−フがお勧めのレストランでは、フィッシュパイを注文したり、ロ−ストビ−フのつけ合わせによく用いられる伝統的なヨ−クシャ−プディングがお皿に載っていたり、イギリスらしいメニューがいくつも登場している。




MENU 料理上手のメイドが作るスコーン
「スコーン」は見てのとおりのシンプルな焼き菓子。でも、作り手やその日の気分によって、出来上がりが違うというご機嫌のむずかしいお菓子なのです。ロンドンに住むシュレーゲル家のスコーンには、ガラス器にたっぷりとジャムが添えられていました。銀製のティーポット、壁をうめつくす絵画の数々、使いこまれた布張りのソファーとクッション・・・。どれも、一家の年輪を感じさせます。

作り方

◇下準備
*薄力粉とベーキングパウダーは一緒にふるっておく。
*オーブンを220度に熱しておく。(天板は取り出しておく)

1. ボウルにふるった粉類を入れ、約7mm角のサイコロ状に切ったバターを加え、バターの表面に粉をまぶす。
2. 大きめのフォークの背で、バターを押しつぶすようにして、粉とバターを練り込みポロポロの状態にする。
3. 2に砂糖と塩を加え混ぜ、さらにとき卵を加え、木べらで混ぜ合わせる。
4. 生クリームとレーズンを加え、手早くひとまとめにする。
5. 打ち粉をした台に4をのせ、めん棒で生地を約3cm厚さの長方形にのばす。
6. 5の生地を半分に切り(正方形にする)、2枚を重ねてまた長方形にのばす。この作業を10回程度繰り返す。
*生地がやわらかく、べとつくので、生地の上下に打ち粉を多めにふりながら、作業をするとやりやすい。
7. めん棒で約2.5cmの厚さにのばし、抜き型で抜く。
8. オーブンペーパーをしいた(またはサラダ油を塗った)天板に7をのせ、といた卵黄をはけで2度塗りする。
9. 220cのオーブンで15〜20分焼く。別の器にホイップクリーム、ジャム類を添える。