大人の男と女が午前4時にベッドで食べるのは

心みだれて

1986年 アメリカ
監督/マイク・ニコルズ
出演/メリル・ストリープ ジャック・ニコルソン





 初めてベッドを共にした男と女。そのあとはどうするのだろう? すぐに眠ってしまうふたりもいるだろうし、おもむろに煙草に火をつけたりする男もいるだろう。この話の主人公たち繙コラムニストのマイケルとフード・ライターのレイチェルは、ともにバツイチどうしだった。パーティーで知り合ったレイチェルに「君は雑誌でハーゲンダッツのラム・レ−ズンを酷評していたね」とつっかかるマイケル。しかし、そんなふたりが意気投合してしまう。
 この映画は実話に基づいているだけに、男女の気持ちの描写になかなかリアリティがある。ふたりで過ごした初めての夜、レイチェルは、午前4時にスパゲティを作ってベッドに運ぶのだ。大きなパスタ・ボウルに、フォークとスプーンをふたり分添えて……。マイケルは「最高のカルボナーラ・スパゲッティだ」と大まじめで絶賛する。手早く作るところはさすがフード・ライターだが、レイチェルは「誰にでもこんな事をして
るわけじゃないのよ」と思わずいい訳してしまう。そんな彼女にマークは惚れこみ、いったんはプレイボ−イの看板を下ろして、彼女と結婚する決心をする。一方のレイチェルは、マイケルがもてる男なだけに、不安でしょうがない。「ベ−グルもないのよ!」。ユダヤ系であるレイチェルにとって、住み慣れたNYから、彼の住むワシントンに移ることも不安なのだ。ベ−グルはもともとユダヤ人のパン。ユダヤ系が多く生活するNYならどこでも手に入るが、ワシントンではそうもいかない、という例えだ。
 そして、スパゲティで始まったふたりの恋は、キーライム・パイで幕を閉じる。再婚したふたりは幸せに暮らし、ふたりの子どもにも恵まれるが、マイケルは浮気をしているらしい。浮気がはっきりして絶望したレイチェルは、友人宅での食事の最中に、自分が作って持参した生クリームたっぷりのパイを、ベチャッとマイケルの顔に投げつけて、子どもとNYへ帰るのだ。別れのパイも手作りしてしまうのが、いかにもレイチェルらしくて哀しいシーンだった。



MENU ピクニックのベリーニ(Bellini) 
ヴェニスの有名レストラン「ハリーズ・バー」で、1930年代から作られていた桃のジュースと発泡酒の組み合わせ。1948年のジョヴァンニ・ベリーニ展にちなんで、「ベリーニ」と名づけられたという伝統的なカクテルです。ちなみに「ハリーズ・バー」の名前は、ヴェニスが舞台のキャサリン・ヘプバーン主演の映画、『旅情』にも登場しています。そんなカクテルをピクニックで作るところがおしゃれ。

作り方

【分量はグラス1杯分を1とした配合】

ピーチ・ネクター 1/3
スパークリング・ワイン 2/3
*どちらも充分に冷やしておく。

グレナデン・シロップ 少々
*省略してもかまわない。

グレナデン・シロップ
シュガー・シロップにざくろ(グレナデン)のエッセンスと着色料を加えた赤い色のシロップ。

1. グラスに、ピーチ・ネクターを注ぎ、その2倍の量のスパークリング・ワインを加え、ごく軽くステアする(軽く混ぜること)。
*ピーチ・ネクターに、グレナデン・シロップを加え、よく混ぜあわせてから使うと、ワンランク上の味わいが楽しめる。