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老人ホームを訪ねた中年女性エヴリンに、老女が昔話を語る。アメリカ南部アラバマ州にある「ホイッスル・ストップ・カフェ」。このカフェが全盛だった頃のことを、老女が回想する形で映画は進行する。「フライド・グリーン・トマト」とは、このカフェに昔からある名物料理の名前だ。 勝気で奔放なイジーと、心優しく清楚なルース。対照的なふたりの女性が経営するこのカフェは、明るく活気に満ちていた。白い壁に板張りの床。天井にはプロペラが回り、カウンターの上のショーケースには、さまざまなパイが並ぶ。屋外では、使用人のビッグ・ジョージが、毎日豪快にバーベキューを焼いている。これが実においしそうで、肉の焼ける匂いが伝わってきそうだ。「ソースは秘密」だそうだが、この「秘密」が後の衝撃のどんでん返しの鍵を握っている。 入口のドアには、大きく「フライド・グリーン・トマト あつあつをお出しします(SERVED HOT)」と書かれている。その名物料理は、衣をつけたスライス・トマトをフライパンに入れ、たっぷりの油で揚げたもの。真っ赤に熟したものではなく、青いトマトを使った料理だ。映画の中では、イジーが実際に作っているが、彼女は料理が得意ではないらしい。せっかくのグリーン・トマトは焼きすぎて黒コゲ、おまけにベチャベチャになってしまう。もういちど、時を現代に戻した老人ホームの場面で、エヴリンが手作りのフライド・グリーン・トマトで、老女の誕生日を祝うシーンがある。こちらはカラリと揚がっておいしそうに登場。名物料理の面目躍如といったところだ。 |
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再び、カフェの回想。なじみ客スモーキーが食べていたフライドチキンの皿には、トウモロコシがそえてあった。フライドチキンにとうもろこし、といえば、南部の食卓には欠かせないものである。特にフライドチキンは、日本でいう味噌汁や漬物のように、各家庭で味つけが違うそうだ。いわば南部版おふくろの味。元アラバマ州知事夫人監修の『41種類のチキン料理レシピブック』にも、フライドチキンだけは載っていなかった。これは自分の味で作る料理だからなのだろう。そういえばエヴリンも、夫にフライドチキンの夕食を出していた。 カフェの外壁には赤いペンキで「ピーチパイ、ピーカンパイ、ブルーベリーパイ、スイートポテトパイ、レモンパイ、ピーチコブラー、チェリーコブラー……」と、メニューが書いてある。数十年が過ぎて住人も去り、閉店してさびれたカフェ。壁のメニューも薄れて読めなくなり、時の流れを無言で語っている。それを見ると、無性に「フライド・グリーン・トマト」が食べたくなる。きっと、緑豊かな美しい南部の大地の味がするだろう。 |